山陽日日新聞社ロゴ 2011年12月17日(土)
来春には33年ぶりに秘仏本尊のご開帳
 師走の風物詩『驚音楼』すす払い
  大宝山千光寺で檀信徒らが集い
鐘撞き堂と集まった人々
 中国観音霊場第十番札所、また、山陽花の寺二
十四か寺の一つにもピックアップされる東土堂町、
真言宗大宝山権現院千光寺(多田義信住職)で16
日朝、この時季の風物詩である鐘楼『驚音楼』
(きょうおんろう)のすす払いが行われた。
 鐘楼前に設けられた祭壇にて、多田住職(71)
と真祥副住職(43)による般若心経の読経。奉仕
の檀信徒十数名が焼香し、一年の締め括りへの祈
りを捧げた。
 続いて多田住職が挨拶に立ち、「今年は未曾有
の大災害に見舞われた年となり、暗く沈んだ感が
ある。今ここに生かされている事、生を授けてく
れた先祖に対し、感謝の気持ちを持ちながら、日
々過ごして頂ければと思います」と、生きている
事への感謝を説いた。
 この後、参集の檀信徒が笹ぼうきや雑巾を手に、
鐘楼及び梵鐘のほこりや汚れを払い落とした。
 明治23年(1890)の建造、平成2年(1990)に
大修理が施された驚音楼は、「音に名高い千光寺
の鐘は、一里聞こえて二里響く」と詠われ、志賀
直哉や中村憲吉も作品の中に盛り込んだ事でも知
られる。刻の鐘としてつき始められたのは元禄年
間からで、今日では夕刻6時に青少年の健全育成
を願いつかれている。環境省の「日本の音風景
100選」にも選定。
 冬至の22日(水)には、こちらも恒例となった
「冬至の日の出を見る会」が朝7時10分頃より開
かれ、向島の岩屋山から昇る太陽が、本堂の本尊
千手観音に真っ直ぐ当たる不思議を体験。参加者
には飴湯の接待。
 大晦日31日(土)の除夜の鐘は、22時頃に整理
券を配布し、22時30分頃に住職が読経、続いて鐘
をつき始める。鐘をついた方先着400人に干支
(辰)の土鈴を接待。本堂では初祈祷、客殿では
初回向か執り行われる。
 来年3月1日には、秘仏の本尊・千手観音が33
年ぶりにご開帳される。



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