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2011年1月7日(金) 『かみちゅ!』 9日からNHKーBS2で放映 尾道がモデルのアニメ 海外発信 新現象も ベルギーからロケ地巡りを |
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尾道が物語のモデルとなり、地方の町を舞台に したアニメーションの先駈けとなった『かみちゅ!』 (全12話)が、9日から毎週日曜日夜、NHK− BS2で放映されることになった。この作品を見 たアニメファンが、国内だけでなく今やヨーロッ パなど海外からも尾道を訪れており、さらに作品 人気が高まることが期待される。 [幾野伝] アニメーション『かみちゅ!』は、1980年代の 瀬戸内にある架空の町「日の出町」(モデルは尾 道)を舞台に、ある日突然「神様」になってしま った女子中学生(一橋ゆりえ)とその周辺の生活 を描いている。「かみちゅ」とは、「神様で中学 生」の意味になる。 そもそもは今から7年前の2004年9月、ソニー 系列のアニメーション制作会社「アニプレックス」 から落越友則・制作担当プロデューサーと舛成孝 二監督、シナリオライターで小説家の倉田英之さ んの3人が「瀬戸内の海と山に囲まれた坂道の多 い、古い町−」という新作アニメの構想に基づい て、「これは尾道以外に考えられない−」と、尾 道をロケーション・ハンティングしたのが始まり。 岩本肇さん(岩本燃料店代表)が、大学時代の 大の親友で当時アニプレツクスの取締役だった山 本進さんから、「町を案内しでやってほしい」と 依頼され、大林宣彦監督を長年サポートしている 大谷治さん(茶房こもん社長)に相談。2人が千 光寺山の南斜面や向島、瀬戸田、伯方島などを3 日間にわたって大林映画の撮影地を中心に案内、 アドバイスして制作が進行した経緯がある。 当時、まだ新進気鋭のアニメクリエーターだっ た舛成監督らは、準備してきたシナリオをもとに、 場面ごとの舞台を設定するためのロケハンを行い、 尾道の町並みや寺院、町の何気ない風景などを写 真やビデオ、スケッチにおさめていった(=写真 上)。 2005年6月から、当初はテレビ朝日系列のCS だけで放映されたが、同年度の第9回「文化庁メ ディア芸術祭アニメーション部門」で優秀賞、 「日本のメディア芸術100選」のアニメ部門に 選出されるなど、注目を集めるようになり、都市 部では地上波でも放映、尾道では岩本さんらが資 金的に尽力して尾道ケーブルテレビが放映したこ とがある。 その後、カナダで開かれた世界アニメーション フェスティバルで金賞を受賞し、ヨーロッパなど 海外にも輸出され、DVD(=写真下)やブルー レイも発売されて今なお人気を集めている。 テレピ放映分の12話以外にプラス4話の16話が あり、スペシャル・サンクスとして取材などに応 じてもらった一部の商店などは実在する店名がそ のまま使われていることもあって、風景を実感し ながらロケ地巡りをするファンが多い。 そんな中、先月には大谷さんが経営する茶房こ もんに、「ベルギーの首都ブリュッセルからわざ わざ訪れた」と話す40歳ぐらいの男性が1人で来 店したという。『かみちゅ!』のDVDから場面 を写真プリントし、それを手にロケ地を巡ってい たもので、作品に登場する同店にも立ち寄ったも の。 日本のアニメーションの人気は、欧州でも高ま る一方と伝えられており、「初めは訳が分かりま せんでしたが、作品が世界に向けて発信されてい ることを知り、納得しました。これまでにない、 面白い現象が尾道には起こっています」(大谷さ ん)と驚いたようすだった。 |